第194回
競馬の楽しみ方~血統編

新種牡馬と時代に合わない?血統背景について

  1. 新種牡馬と時代に合わない?血統背景について

    夏競馬の締めくくり

    早いもので今年の夏競馬も残り3週となった。
    そんな夏競馬の終わりと言えば2歳ステークスだろう。
    すでに函館では7月に2歳Sが行われたが、ここから新潟、札幌、小倉と各場でそれぞれの条件この時期のチャンピオンが決まる。

    昨年は札幌2歳Sを勝ったソダシが、その後阪神JF⇒桜花賞とGIを2勝。小倉2歳Sを勝ったメイケイエールもファンタジーS、チューリップ賞と重賞を2つ勝利。
    ここから来年のクラシック戦線を賑わせる馬も現れてくるだけにしっかりレースを見ておきたい。



    今年デビューとなる新種牡馬

    そんな重賞レースも楽しみだが、2歳戦といえばその年から種牡馬デビューとなる馬たちの産駒の成績も、気になることのひとつだ。

    2018年に初めて種付けを行った、今年種牡馬デビューは30頭

    内国産馬は、皐月賞馬イスラボニータを筆頭に、短距離チャンピオンに輝いたビッグアーサー、ダートGI(JpnI)11勝のコパノリッキーなど。
    また、幻のダービー馬と言われたシルバーステートも、ディープインパクト産駒としては低価格設定でもあるだけに初年度から人気を集めている。

    その他にもアメリカからの輸入種牡馬も人気で、今後、熾烈になることが予想される『ポスト・ディープインパクト』を巡るリーディング種牡馬争いに、どの馬が頭角を表してくるのか、今年から数年はそういった部分でも見どころになるはずだ。



    新種牡馬、ここまでの成績は?

    6月中旬から始まった2歳戦。約2ヶ月近く、様々な条件で2歳馬がデビューしているが、8月15日時点で一番多く勝ち上がりを輩出しているのはロードカナロア産駒ドゥラメンテ産駒の6頭。

    ロードカナロアの需要と実績は言わずもがなだが、ドゥラメンテ産駒に関しては、デビューイヤーの昨年も早い時期からコンスタントに勝ち上がっていただけに、生産側としては期待通りと言ったところだろう。

    また、その2頭に次いで勝ち上がり馬を出しているのは、前述でも紹介した新種牡馬シルバーステートだ。

    未勝利→ダリア賞と連勝中のベルウッドブラボーを筆頭に、ここまで5頭が勝ち上がっている。
    現役時代は屈腱炎で、満足いく競走生活を送れなかったシルバーステート。わずか5戦(4勝)で引退した未完の大器だけに、その秘めたポテンシャルをどこまで子孫に反映することができるのか、ファン、関係者ともに興味のあるところ。


    また一方で一方で期待ハズレもある。
    種牡馬は現役時代の成績・パフォーマンスを評価されることが一般的。
    もちろん、それ相応の良血牝馬を用意されている、ということも裏付けにはなっており、ディープインパクト、キングカメハメハ、ロードカナロア、クロフネなど、その実績通りに活躍馬を多数輩出している。

    ただ、全ての実績馬が種牡馬になって上手くいっているというわけではない。
    現役時代の華々しい実績に期待し、生産グループを挙げて良血牝馬を次々に交配して一時代を築こうと狙ったものの、その期待を大きく裏切るような形になった種牡馬が昨年も1頭いた。

    …それがモーリスだ。



    今の時代に合っていない血統背景?

    海外GI 3勝を含む、通算GI 6勝の華々しい実績。派手さはないものの、モーリスには力でねじ伏せるようなレースぶりは見た目以上のインパクトがあった。

    その強さを継承しよう、継承したいと生産者は大きく期待したのだが、昨年の2歳リーディングサイアーとしては全体3位。
    決して悪くないように見えるが、「あれだけ良い牝馬をつけておいてこの成績か…」と関係者のトーンは軒並み低い
    勝った重賞3レースも1400〜1600mで、いわゆるクラシック戦線において特段の実績を挙げた馬はいなかった。これはひとこと「失敗」と言っていいだろう。

    スピードレースが主流になりつつある昨今の日本競馬。
    いわゆるスタミナパワーという特徴・個性が重要視されづらくなっていることもあり、モーリスのような血統はフィットしないのかもしれない。

    ただ「ラシック」という目標を度外視すれば、モーリス産駒は父同様に年齢を重ねて化ける可能性も秘めている。
    モーリスはクラシック戦線に進めなかったものの、古馬になってから一気に力をつけて大化けした晩成型だ。

    その父スクリーンヒーローもそうだったように、この血筋は時間をかけることが必要なのかもしれない。


    今年はここまで5頭が勝ち上がりとまずまずの滑り出し。
    結果が求められる年でもあるだけに、何とか1頭でも多く大舞台へ駒を進めて欲しいところ。
    馬に罪は全くないのだが、異常なまでに期待が高かっただけに、種付けをして役目を終えた父にまでプレッシャーのかかる日々がしばらく続きそうだ。

    何も日本ダービーを勝つだけが競馬ではない。
    様々な個性のある競走馬が現れることも競馬界を盛り上げる一因になるはずだから、ぜひモーリスにはそのポジションを確立して欲しいものだ。


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